出荷件数が増えるほど、送り状の発行作業は物流現場の大きな負担になります。宛先の手入力や配送会社ごとのソフト操作に追われ、繁忙期には残業が常態化している倉庫もあるかもしれません。
そこで本記事では送り状の自動化を4つのレベルに分けて整理し、仕組みや効果からシステムの選び方までを解説します。現場を止めずに導入する手順も紹介しますので、自社がどの段階にいるのかを確認しながら読み進めてください。
掲載画像は業務イメージです。実際のシステム画面・設備・導入事例を示すものではありません。
送り状の自動化とは?手作業の何がなくなるのか
送り状の自動化とは、受注や出荷指示のデータをもとに送り状の作成・印刷・番号管理を人の操作を減らして進める仕組みを指します。ただし、一口に自動化といっても対象となる作業は異なります。まずは送り状発行業務の全体像を確認し、どの工程が自動化されるのかを見ていきます。
送り状発行業務の基本的な流れ
送り状発行は大きく5つの工程で成り立っているのが一般的です。最初に受注データや出荷指示を受け取り、次に宛先や品名などの配送データを作成するところから始まります。続いて配送会社のソフトへデータを入力し、送り状を印刷して荷物に貼付する流れです。最後に送り状番号を控えて荷主へ報告すれば、一連の業務が完了します。
送り状の自動化で置き換わる3つの作業
では、自動化によって具体的にどの作業がなくなるのでしょうか。ここでは物流現場で特に負担が大きく、自動化の効果が表れやすい作業を3つ取り上げて解説します。
宛先・品名の手入力と転記
とくに時間がかかるのが、受注情報を配送会社のソフトへ入力し直す作業です。住所や電話番号を一件ずつ転記する運用では、件数が増えるほど入力と確認の負担も増えます。自動化すれば受注データがそのまま送り状に反映されるため、入力作業そのものをなくすことが可能です。
配送会社ごとのソフト操作と切り替え
ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便などを使い分けている現場では、それぞれ専用ソフトにログインして操作しなければなりません。操作手順が異なるため、担当者は複数のシステムを覚える必要があります。送り状発行システムで一元化すれば、配送会社を意識せずに同じ画面から発行できるようになり、切り替えの手間そのものをなくすことができます。
送り状番号の控えとシステムへの戻し入力
発行後の送り状番号を受注管理システムやWMSへ戻す作業も見逃せません。この工程が手作業だと反映漏れが起こります。結果として追跡番号の問い合わせに答えられない事態を招き、荷主からの信頼を損なう可能性もあります。
送り状自動化の4つのレベル

送り状業務は、データの入力・受け渡し・印刷・貼付のどこまでを自動化するかで、担当者の作業が変わります。ここでは、比較の出発点となる手入力をレベル1とし、自動化する範囲を広げた4つのレベルで整理します。自社に残っている手作業と照らし合わせてみてください。
| レベル | 連携方法 | 残る手作業 | 自動化できる範囲 |
|---|---|---|---|
| 1手入力 | 宛先・品名を1件ずつ入力 | 入力、印刷操作、貼付、番号の転記 | データ入力は未自動化 |
| 2CSV連携 | CSVファイルを出力・取込 | CSVの出力・取込、必要に応じた加工・番号の戻し、印刷操作、貼付 | データの一括取込・送り状の一括発行(設定次第で受け渡しも自動化) |
| 3API連携 | システム間でデータを送受信 | 印刷操作や貼付(設備・運用による) | 出荷データの送信・送り状番号の反映 |
| 4設備連携 | APIとプリンター・貼付設備を連携 | 例外対応、設備の監視・保守 | 発行対象の抽出・印刷・貼付まで |
※対応範囲は製品や設備構成によって異なります。スマートフォンではレベルごとに縦に表示しています。
レベル1:宛先や品名を1件ずつ手入力する
担当者が宛先や品名を1件ずつ入力し、送り状を印刷する段階です。ヤマト運輸のB2クラウド、佐川急便のe飛伝Ⅲ、日本郵便のゆうパックプリントRなどが利用候補になります。これらには外部データの取込機能もあり、手入力専用ではありません。B2クラウドとゆうパックプリントRは公式サイトで無料と案内されていますが、利用登録・契約、対応する配送サービスやプリンターなどの条件は各社で確認が必要です。配送会社の公式資料を見る
レベル2:CSVでまとめて入力し、送り状を一括発行する
- できること
- 宛先・品名などの一括取込と、送り状のまとめ発行。
- 残る作業
- ファイルの出力・取込、印刷操作、荷物への貼付。
- 確認すること
- データ形式と、送り状番号を元のシステムへ戻す方法。
CSV連携の仕組みとできること
CSV連携では、受注システムやWMSから出力したデータを配送会社のソフトに取り込み、送り状をまとめて発行します。取込先の仕様に合わせて、列の割当・文字コード・必須項目を設定します。たとえばB2クラウドでは、指定フォーマットの利用のほか、手元のデータと取込項目を紐付ける方法も案内されています。毎回ファイルを加工する必要があるかは、出力側と取込側の設定によって変わります。
CSV連携で残る手作業と列ズレ・取込ミスのリスク
CSVの出力・加工・アップロードを担当者が行う運用では、その操作や確認作業が残ります。列の割当や文字コードが合わなければ、取込エラーや誤った内容の登録につながる可能性があります。設定を固定し、取込結果を確認する手順を整えることが大切です。送り状番号を元のシステムへ戻す方法も確認してください。一方、CSVの自動出力・監視取込に対応する構成もあるため、CSV方式だけを理由に自動化できないとは判断できません。
レベル3:APIで出荷データと送り状番号の受け渡しを自動化する
- できること
- 出荷データの送信と、送り状番号・処理結果の受け渡し。
- 残る作業
- 印刷操作や貼付、エラー対応。自動化の範囲は構成によります。
- 確認すること
- 既存の連携機能、開発の要否、通信失敗時の再処理。
API連携の仕組みを初心者向けに解説
APIは、システム同士でデータをやり取りするための窓口です。たとえばWMSで確定した出荷データを送り状発行システムへ送信し、処理結果や送り状PDF、送り状番号を取得します。ファイルを手動で受け渡す工程を減らせますが、入力内容の検証やエラー時の再処理、印刷まで自動で進めるかは、利用するAPIと連携側の設計によって異なります。
送り状番号の自動反映と出荷ステータス更新まで一気通貫にできる理由
APIで送り状番号や処理結果を取得し、WMS・受注管理システムの更新処理へつなぐことで、番号の転記を減らせます。出荷ステータスの更新や購入者への通知は、連携元システムでの設定・開発が必要な場合があります。再発行時は新旧の番号の扱い、キャンセル、二重登録の防止、通信失敗時の再試行まで確認しましょう。APIに接続するだけで、すべての業務が自動化されるわけではありません。
レベル4:送り状の発行・印刷から荷物への貼付まで自動化する
データの受け渡しに加えて、送り状を発行するタイミングや印刷、荷物への貼付も自動化します。たとえば、指定時刻に出荷対象を抽出して送り状を自動印刷し、ラベラーなどの設備で荷物に貼り付ける流れです。システム連携に加え、プリンターや貼付設備との連携が必要になります。
送り状の自動化で得られる5つの効果
自動化のレベルを理解したところで、次は導入によって得られる効果を具体的に見ていきます。単なる時短にとどまらず、品質や組織体制にも良い影響が及ぶ点がポイントです。投資判断の優先順位を考えるうえでも役立つでしょう。
手入力ミスと誤出荷の削減
受注データを送り状へ引き継ぐことで、手入力や転記によるミスを減らすことが期待できます。ただし、元データの誤りや項目の割当ミスまで自動で解消できるわけではありません。住所・電話番号などの入力チェックと、エラーを確認する手順を組み合わせて運用しましょう。
発行時間の短縮と繁忙期の人員平準化
データの入力や受け渡し、番号の転記を減らせれば、担当者の時間を梱包・検品などへ振り向けやすくなります。短縮できる時間は、件数、配送会社の構成、プリンター、例外対応の割合によって異なります。繁忙期に必要な人数も含め、実際の出荷データを使ったテストで確認してください。
複数配送会社の一元管理と属人化の解消
配送会社ごとの操作を覚える必要がなくなるため、新人でも短期間で発行業務を担当できます。ベテランが休んだ日に出荷が止まるといった属人化のリスクも解消されるでしょう。教育コストの削減という点でも効果は大きいです。
送り状番号の即時反映による問い合わせ対応と荷主報告の高速化
送り状番号をWMSや受注管理システムに反映する仕組みを整えると、番号の検索や荷主への報告を進めやすくなります。購入者への出荷完了メールや日次報告も連携対象にできますが、通知のタイミングや帳票出力に対応しているかはシステムごとに確認が必要です。
作業履歴の可視化による業務改善
送り状の発行日時や処理結果、エラー内容を記録できるシステムであれば、どの工程で作業が滞っているかを把握しやすくなります。たとえば、特定の入力項目でエラーが繰り返されている場合は、受注データや入力ルールを見直す手がかりになります。導入前後の作業時間や修正件数を比較し、運用の改善につなげましょう。記録できる項目や集計機能は製品によって異なるため、選定時に確認しておくことが大切です。
送り状発行システムの選び方

効果を最大化するには、自社の業務に合ったシステムを選ぶことが欠かせません。ここでは比較検討の際に確認したい7つのポイントを整理します。
対応している配送会社の範囲(ヤマト・佐川・日本郵便・西濃など)
まず確認したいのは、自社が利用する配送会社にすべて対応しているかどうかです。ヤマト運輸や佐川急便だけでなく、西濃運輸などの路線便も使う場合は対応範囲を細かく見る必要があります。将来的に配送会社を追加する可能性も踏まえて選びましょう。
CSV連携かAPI連携か
CSVとAPIのどちらが適しているかは、出荷頻度、処理量、連携元の対応状況で変わります。CSVでもバッチ処理の自動化に対応する構成があり、APIでもエラー確認や印刷操作が残ることがあります。データ取込から番号反映までの各工程で、人が行う操作とシステムが行う処理を比較しましょう。
自社のWMS・基幹システム・受注管理システムと連携できるか
API連携に対応していても、自社が使うWMSや基幹システムと接続できなければ意味がありません。連携実績のあるシステムの一覧や、個別開発の可否を必ず確認してください。ネクストエンジンなどの受注管理システムと連携するアプリが用意されている製品もあり、EC事業者の場合は導入のハードルが下がります。
送り状番号の自動反映・再発行時の上書きに対応しているか
発行した番号を連携元へ返却できるか、反映までの時間や失敗時の通知も確認します。再発行時は、番号を上書きするのか、履歴として保持するのか、古い番号で通知が送られないかも重要です。利用するシステム同士で実際の動作を確認してください。
クラウド(SaaS)型とオンプレミス型のどちらを選ぶか
クラウド型は初期費用を抑えて短期間で導入でき、拠点が複数あっても同じ環境を使えます。一方のオンプレミス型は、自社管理・ネットワーク分離・独自要件が必要な企業に向いているでしょう。両方から選べる製品であれば、自社の方針に合わせて柔軟に決められます。
料金体系(初期費用・月額・従量課金)と発行件数の上限
料金は初期費用と月額固定のほか、発行件数に応じた従量課金の場合があります。月間の発行枚数に上限が設けられている製品では、繁忙期に上限を超えて発行が止まらないか注意が必要です。将来の出荷量の増加を見込んだうえで、総コストを比較してください。
導入支援・カスタマイズ・サポート体制
最後に挙げるのはサポート体制です。配送会社の自動切り替えや印字項目の追加といったカスタマイズに応じてもらえるかも重要な判断材料になります。現場からの問い合わせに迅速に対応してくれるベンダーなら、安心して運用を任せられるでしょう。
送り状自動化の導入手順
システムを選んだら、次は導入の進め方です。出荷業務は1日も止められないため、テスト運用を挟みながら段階的に移行する計画が求められます。ここでは5つのステップに分けて解説します。
現状の発行フローと工数・ミス件数を可視化する
最初に、現在の送り状発行に担当者がどれだけの時間をかけているかを測定するところから始めます。担当者ごとの作業時間や月間の誤出荷件数を記録し、課題を数字で把握しましょう。この数値が、後の効果測定や社内稟議の根拠になります。
自動化レベルの目標と連携対象システムを決める
続いて、どのレベルまで自動化するのかを決めます。あわせて、WMSや基幹システムのどれと連携させるのかも整理してください。連携対象が決まれば、ベンダーに確認すべき事項や見積もりの前提条件も自然と絞られてくるでしょう。目標が曖昧なままだと、システム選定の軸がぶれてしまいます。
候補システムの比較と資料請求・デモ確認
目標が決まったら、候補を2〜3製品に絞り込みます。資料請求だけでなく、実際の画面を見るデモを依頼すると操作感や画面の分かりやすさが具体的に分かるでしょう。自社の出荷データを使ったテスト発行を頼めるかも確認しておくと安心です。
テスト運用と現場マニュアルの整備
導入が決まったら、一部の荷主や配送会社に限定してテスト運用を行います。並行して、現場スタッフ向けの操作マニュアルとイレギュラー時の対応フローを整備してください。この段階で疑問を潰しておけば、本番移行の混乱を減らせます。
本番移行と効果測定・改善
テストで問題がなければ、本番移行に進みます。移行後はステップ1で記録した数値と比較し、削減工数やミス件数の変化を確認しましょう。効果が出ている工程と出ていない工程を切り分け、次のレベルへの改善につなげていくことが大切です。
送り状の自動化に関するよくある質問

ここまでの内容を踏まえ、導入検討の場でよく寄せられる質問に回答します。判断に迷ったときの参考にしてください。
無料の送り状発行ソフトだけで自動化できますか?
無料で提供される送り状ソフトにも、外部データの取込や一括発行の機能があります。どこまで自動化できるかは、外部連携機能、契約条件、印刷方法などによって異なります。CSV取込に加えて、APIなどの連携サービスが別途用意されている場合もあります。無料の範囲と、連携に必要な費用・設定を分けて確認しましょう。
API連携にはシステム開発の知識が必要ですか?
既存の標準連携アプリを使える場合は、利用者がプログラムを書く必要がないこともあります。一方、自社のWMSや基幹システムと直接API連携する場合は、認証、項目の対応付け、処理結果の反映、エラー対応などの設計・開発が必要になることがあります。自社の担当者やベンダーと、既存機能で対応できる範囲を確認してください。
複数の配送会社を使っていても一つのシステムで対応できますか?
マルチキャリア対応の送り状発行システムであれば、一つの画面から各社の送り状を発行できます。配送会社ごとにログインし直す必要もありません。条件に応じて配送会社を自動で振り分ける機能を備えた製品もあるため、導入前に自社で使う配送会社がすべて対応しているかを確認してください。
出荷件数が少ない企業でも導入するメリットはありますか?
件数が少なくても、複数の配送会社を使い分けている場合は一元管理の効果があります。属人化の解消という点でも意義は大きいです。今後の出荷増加を見込むなら、早い段階で仕組みを整えておくことが将来の負担軽減につながるでしょう。
自社に合う送り状の自動化から始めよう
送り状の自動化は、データの入力・受け渡し・印刷・貼付を分けて考えると、自社に必要な改善を整理できます。CSVでもAPIでも、残っている手作業と例外対応を確認することが出発点です。まずは負担の大きい工程から着手し、導入前後の時間や修正件数を比較しながら自動化の範囲を広げましょう。
株式会社UMTECが提供するSHIPPSYSは、Webアプリ、API、ネクストエンジン連携から出荷データを取り込み、複数配送会社の送り状発行、PDF・ラベル印刷、追跡番号・処理結果の管理を行うクラウドサービスです。標準機能を利用するSaaSプランに加え、既存システムや業務要件に合わせて設計・開発するインテグレーションプランを用意しています。自社の連携元システム、利用する配送会社、印刷方法を整理して導入方法を検討してください。
参考資料・確認先
配送会社のサービス内容・利用条件は変更される場合があります。導入時は各社の最新情報をご確認ください。
