業務システムの導入形態を検討する際は、SaaSとオンプレミスの違いを、初期費用、運用負担、セキュリティ要件、カスタマイズ範囲から比較する必要があります。本記事では、それぞれの特徴と選定時の確認事項を整理します。

1. SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)方式

SaaSはクラウドベースのサービスで、利用者はソフトウェアをインターネット経由で利用でき、自社でサーバーを用意して保守する必要がありません。ソフトウェアの更新や基盤の保守は、契約範囲に応じて主に提供者が行います。利用者は必要なプランと運用条件を確認して利用します。

特徴

  • 導入期間を抑えやすい:自社でサーバーを構築する必要がなく、提供条件に応じてインターネット経由で利用できる。
  • 提供者による更新:メンテナンスやアップグレードは主に提供者が実施する。更新時期や利用できる機能はサービスによって異なる。
  • 料金体系:月額または年額の契約が一般的で、初期費用を抑えやすい。
  • プランに応じた拡張:契約プランの範囲で、ユーザー数、処理量、利用機能を変更できる場合がある。
  • IT負担の軽減:サーバーや基盤の保守作業を減らしやすく、IT運用担当者が限られる企業でも検討しやすい。

候補になりやすいケース

  • 自社でサーバー基盤を保守しない企業
  • 導入期間と初期負担を抑えたい企業
  • 基盤の保守作業を提供者に任せたい企業

2. オンプレミス方式

オンプレミス方式では、自社または指定した環境にシステムを構築し、自社の方針に沿って管理・運用します。対応可能な範囲で個別要件を実装し、社内のセキュリティ基準に基づいてデータを管理できます。

特徴

  • 自社方針に沿った運用:システムの設定、更新時期、管理方法を自社の運用方針に合わせて決定できる。
  • 個別要件への対応:製品や契約の対応範囲内で、業務要件に合わせた変更や拡張を検討できる。
  • 自社管理:データやシステムを社内環境で管理し、自社のセキュリティ方針に沿って運用できる。
  • 初期負担が大きくなりやすい:基盤の準備、構築、保守に必要な費用と運用体制を事前に見積もる必要がある。
  • 自主更新:企業が必要なタイミングでシステムのアップグレードを決定できる。

候補になりやすいケース

  • システムを管理できるIT運用体制がある企業
  • 社内規程に基づくデータ管理や監査対応が必要な企業
  • 標準機能では対応しにくい個別要件がある企業

3. SaaSとオンプレミスの比較表

特徴SaaSオンプレミス
導入スピード比較的短期間で開始しやすい環境構築と設定の期間が必要
コスト初期費用を抑えやすく、月額・年額契約が一般的基盤構築や導入作業の初期費用が必要
更新とメンテナンス主に提供者が担当企業が担当し、更新時期を管理
セキュリティ提供者と利用者の責任範囲を確認企業が主体となって管理
拡張性プランに応じてユーザーや機能を変更企業のハードウェアとITリソースに依存
カスタマイズ性サービスの提供範囲内製品と契約の対応範囲を確認
候補になりやすいケース保守負担や初期費用を抑えたい企業自社運用や個別要件を重視する企業

4. 選定時の確認ポイント

SaaSかオンプレミスのどちらを選ぶかは、企業の規模、予算、IT運用体制、業務要件によって異なります。主な判断基準は次のとおりです。

  • SaaSが候補になりやすいケース:導入期間とIT基盤の保守作業を抑え、月額または年額契約で利用したい場合。
  • オンプレミスが候補になりやすいケース:運用を担う技術チームがあり、社内基準に沿ったデータ管理や個別要件への対応を重視する場合。

5. 結論

SaaSとオンプレミスには、それぞれ異なる利点と運用負担があります。導入速度や保守負担を重視する場合はSaaS、自社管理や個別要件を重視する場合はオンプレミスが候補になります。費用だけでなく、運用体制とセキュリティ要件を含めて比較することが重要です。